(4) 湯○゙~○゙さんを捜せ(仮題)
(1) (2) (3) から続き
落ちこぼれ要人保護課員シリーズ「赤いコート姿の女性」編

◆2003年11月22日AM7:55◆金沢・丸の内 南分室
『えぇ~誰だって~』
10畳ほどの広さの剥き出しのコンクリート壁の室内に反響されて
更に大きな声に聞えて思わず「田所真一」は顔をしかめ
『先輩!! 声がでかいっすよ!!』
先輩と呼ばれた「渡辺達司」は受話器を握ったまま咥えタバコの灰を
乱雑に積まれた書類に隠れそうな灰皿に落そうとしているのを見た
「田所真一」は更に顔をしかめながら成り行きを見守った。
『課長!!いいですか心して聞いて下さいよ!!』
上手くタバコの灰が落ちて気を良くしたのかと思い「田所真一」は
明るく饒舌になって話す「渡辺達司」を安堵の目で眺めた。
『先輩!!その調子で』
二人は県警察本部長直轄の要人保護課で二人しかいない相棒であった。
表向きには警備部警備課に属しているが市内鞍月に移転した本部詰
ではなく移転前から旧県庁舎になった兼六園から近い丸の内南分室内に
居を構えていた。
『指揮命令は警備課長ではなく、本部長なのは御存知でしょう
なぜ、お国入りする郷土の星、松井君の警備から外れるのですか』
なるほど剥きになって声を昂ぶらせる訳が分かったと「田所真一」は
男所帯で乱雑になった炊事場にホットコーヒーを入れるために向った
先輩「渡辺達司」のホットコーヒーを作るためではなく自分のために。
炊事場からでも「渡辺達司」の声は聞えていた。
『何だって!!直々に内閣情報室からの要請だって 本当かよ!!』
壁に耳あり障子に目ありだが平和国家、日本にあって危機管理の
重要性が先の政権から叫ばれていたが現実感に乏しいと「渡辺達司」は思っていた。
電話での叫び声と裏腹に冷静な思いが頭の中で蓄積されて行く。
『で、どうすれば良いんですか課長殿!!』
「田所真一」は自分専用のカップにホットコーヒーを入れて室内に
戻って来ると「渡辺達司」が受話器を置いていた。
『真一君!! 郷土の星、松井君の警備から外れたぞ~』
と終わりの言葉は弱弱しく聞えてきて残念さがにじむように聞えた
「田所真一」はカップに口を付けようとした。
『おい!!真一君 新しい指令が伝達された』
と先までの落ち込みようは何だったんだ~と思う位に弾んだ声を
掛けられ逆に動揺してしまう「田所真一」に更に追い討ちを掛ける
言葉が「渡辺達司」の口から発声られたのであった。
『コードネームは・・湯ば~ばさんを捜せ』
と発するや否や「渡辺達司」は無理やり残り少ないタバコを灰皿に
押し付けて乱れた髪も整える間もなく足早に室内を抜けドアノブに
手をかけて振り向くことなく言った。
『真一君、コーヒーの飲み過ぎは身体に悪いよ!!』
言われた「田所真一」であったがコードネームの方に気をとられ
『ユバ~バサンヲサガセ』と復唱していたが何か呪文を唱える感覚であった。
コードネーム・ユバ~バサンヲサガセ
は、極東アジアの緊張緩和を迎える「ピョンヤンの春」に繋がる
僅かな一歩になることを、その時は知らなかった要人保護課の二人だった。
--つづく--
★フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません。
落ちこぼれ要人保護課員シリーズ「赤いコート姿の女性」編

◆2003年11月22日AM7:55◆金沢・丸の内 南分室
『えぇ~誰だって~』
10畳ほどの広さの剥き出しのコンクリート壁の室内に反響されて
更に大きな声に聞えて思わず「田所真一」は顔をしかめ
『先輩!! 声がでかいっすよ!!』
先輩と呼ばれた「渡辺達司」は受話器を握ったまま咥えタバコの灰を
乱雑に積まれた書類に隠れそうな灰皿に落そうとしているのを見た
「田所真一」は更に顔をしかめながら成り行きを見守った。
『課長!!いいですか心して聞いて下さいよ!!』
上手くタバコの灰が落ちて気を良くしたのかと思い「田所真一」は
明るく饒舌になって話す「渡辺達司」を安堵の目で眺めた。
『先輩!!その調子で』
二人は県警察本部長直轄の要人保護課で二人しかいない相棒であった。
表向きには警備部警備課に属しているが市内鞍月に移転した本部詰
ではなく移転前から旧県庁舎になった兼六園から近い丸の内南分室内に
居を構えていた。
『指揮命令は警備課長ではなく、本部長なのは御存知でしょう
なぜ、お国入りする郷土の星、松井君の警備から外れるのですか』
なるほど剥きになって声を昂ぶらせる訳が分かったと「田所真一」は
男所帯で乱雑になった炊事場にホットコーヒーを入れるために向った
先輩「渡辺達司」のホットコーヒーを作るためではなく自分のために。
炊事場からでも「渡辺達司」の声は聞えていた。
『何だって!!直々に内閣情報室からの要請だって 本当かよ!!』
壁に耳あり障子に目ありだが平和国家、日本にあって危機管理の
重要性が先の政権から叫ばれていたが現実感に乏しいと「渡辺達司」は思っていた。
電話での叫び声と裏腹に冷静な思いが頭の中で蓄積されて行く。
『で、どうすれば良いんですか課長殿!!』
「田所真一」は自分専用のカップにホットコーヒーを入れて室内に
戻って来ると「渡辺達司」が受話器を置いていた。
『真一君!! 郷土の星、松井君の警備から外れたぞ~』
と終わりの言葉は弱弱しく聞えてきて残念さがにじむように聞えた
「田所真一」はカップに口を付けようとした。
『おい!!真一君 新しい指令が伝達された』
と先までの落ち込みようは何だったんだ~と思う位に弾んだ声を
掛けられ逆に動揺してしまう「田所真一」に更に追い討ちを掛ける
言葉が「渡辺達司」の口から発声られたのであった。
『コードネームは・・湯ば~ばさんを捜せ』
と発するや否や「渡辺達司」は無理やり残り少ないタバコを灰皿に
押し付けて乱れた髪も整える間もなく足早に室内を抜けドアノブに
手をかけて振り向くことなく言った。
『真一君、コーヒーの飲み過ぎは身体に悪いよ!!』
言われた「田所真一」であったがコードネームの方に気をとられ
『ユバ~バサンヲサガセ』と復唱していたが何か呪文を唱える感覚であった。
コードネーム・ユバ~バサンヲサガセ
は、極東アジアの緊張緩和を迎える「ピョンヤンの春」に繋がる
僅かな一歩になることを、その時は知らなかった要人保護課の二人だった。
--つづく--
★フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません。
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