fc2ブログ

(1) 湯○゙~○゙さんを捜せ(仮題)

*一部加筆修正し画像差替えて(13)まで再掲しています(記事連作のため上から下へスクロールとなります)

落ちこぼれ要人保護課員シリーズ「赤いコート姿の女性」編

gan1.jpg

◆2003年11月22日AM6:00◆巌門

能登金剛国定公園を代表する景勝地・巌門は海食崖がよく発達して
いる。松本清張「ゼロの焦点」が刊行されてから断崖絶壁を訪れる

観光客は増えたが昔から住む「多田清吾」は愛犬「シロ」と、まだ
日の出前の暗い坂道を「レストラン巌門」までの散歩を決まった時間
、積雪の1月,2月を除き日課としていた。

日本海から吹き荒ぶ風は夏場は気持ち良く感じるが今日は霙交じりの
横風で「シロ」を繋ぐ綱におのずと力を入れ一歩一歩確かな足取りで

注意して坂道を下る。冬場は車両の通行も疎らになり今も目線の先、
「レストラン巌門」から来る車のヘッドライトの灯りも見えなかった

『シロ、休憩しようか』
先へ先へと進む「シロ」に声を掛けた。

老妻に先立たれてからは既に2代目「シロ」である。
共に老いたる者としての連帯感と愛情を「シロ」に注ぐ「多田清吾」であった。

「レストラン巌門」駐車場で休憩して来た道を戻る「多田清吾」に
とって、夏場は長めにベンチに座って道路を通過する車やバイク、

まれに野宿する若者を眺めるのが人恋しくなる時の慰めであったが

今日は「シロ」に声を掛けて戻ろうとした時、焼きイカの店舗の陰に
佇む赤っぽいコートを着た女性と視線が合った気がして思わず声を発した。

-つづく-

★フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません。
スポンサーサイト



テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

KIYO♂

Author:KIYO♂
旅 乗り物 株主優待 創作小説  愛犬 ポメ吉 20210714 14歳の誕生日を迎えることなく旅立ってしまう◆20160607未だに冬眠のため不定期活動。

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク