一瞬の交差

■ ドイツの公園 一枚の画像から創作 (記事連作のため 上から下へ スクロールとなります)
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■プロローグに代えて

奴が 俺よりも一枚も二枚も上手だったようだ

頭に直撃があり 薄れ行く記憶と視野の先に 立ち去る男達の中に
奴の勤め先で見かけた顔があった。

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)
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① 一瞬の交差 バーゼルにて

一瞬の交差 から続き

■ 1998年夏 スイス・バーゼルSBB構内 一枚の写真から創作
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ギュンター・クレーはホームに降り立つと向かいの車両の前に居た
モニカ・エアハルトに歩み寄り声を掛けた。

「これから、ミラノかい」
「お帰り、週末のパーティーに来れるでしょ」

モニカ・エアハルトから笑顔を向けられて言葉を帰されると
ギュンター・クレーは嬉しくなって胸の鼓動が高鳴ったのを感じ

「その日はアムステルダムから帰って来て直行するよ」
「じゃ、皆で待っているからね」         

二人の乗務員の間で、そんな会話を交わされているとは知らず

彼らの視線を一瞬、遮断して通り過ぎた私は足早に
地下通路を目指して行った。

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)

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② 一瞬の交差 翼の見えない天使

① 一瞬の交差 バーゼルにて  から続き

■ 2012年春 ドイツ・フランクフルト空港搭乗待合室 一枚の画像から創作
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姉カロリーネ・バルト は五歳の誕生月に母と弟と一緒に空港に来ていた。 母 モニカ・バルトは待合室で座っていたが立ち上がって振り返り搭乗する飛行機を眺めている娘 カロリーネ・バルトを呼んだ。

「カロリーネ もう 飛行機に乗る時間だから こっちに戻って来て」
「はい ママ もう少し飛行機見たいよ おじいちゃんの所へ行くの? 」

モニカ・バルトは戻って来た 娘 カロリーネ・バルト へ空港へ向かう時に言った地名を再度伝えた
「パパの住んでいるマカオ(澳門)よ」

カロリーネは昨年行った おじいちゃん(マデイラ島・ポルトガル)の所と思っていたのだ。

モニカ・バルトは横に座る息子ハンスを気に掛けながらも昨日、フランクフルト中央駅で
偶然見かけた ギュンター・クレー の事を思い浮かべていた。

ギュンター・クレーとは12年前の夏、同僚達との週末のパーティーで更に意気投合し共にドイツ系スイス人 もあって付き合いが始まり遅い春を迎えることなく別れ 程なくスイスを後にしてフランクフルトに

来てスポーツクラブで 今の夫 ステファン・バルトと知り合った。

「ママ どうしたの おなか 痛いの?」

モニカ・バルトは 娘カロリーネが横に来て顔を覗き込まれているのを気付かず声を掛けられて
視線を床から上げ娘カロリーネを見て 慌てて周囲の搭乗客の後姿を追うように

娘カロリーネと並び息子ハンスと手を繋ぎ搭乗ゲートへ向かった。

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)

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③ 一瞬の交差 希望を その手で 

② 一瞬の交差 翼の見えない天使  から続き

■ 2009年秋 マカオ空港搭乗待合室  一枚の画像から創作
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2012年春 マカオ空港搭乗待合室
夫 ステファン・バルトはマカオのバレーボール協会の招きで二年間の指導コーチを
務めていて来月の任期切れで帰国する前の短期休暇であったが家族をマカオに
呼び寄せていた。

空港でステファン・バルトの見送りを受けたモニカ・バルトは別れを愚図る息子ハンスを
何とか なだめ搭乗待合室に来て飛行機が見えるよう息子ハンスを抱え上げた。

「ママ~ のる ひこうき どれ 手に さわれそう」 

「ハンス ママね 昔バレーボール選手だったの わかる」

「うん パパに きいたよ しょくば けっこん だって」

「ハンス ママね 飛行機の座る所が狭いから 乗るの止めようかな~」

「僕 大きく なったら 手の上にママと ひこうき のせるから がまんして」

--つづく--

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④ 一瞬の交差 消えた想いで

③ 一瞬の交差 希望を その手で  から続き

■ ドイツの温泉プール 一枚の画像から創作
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マカオでも子供達の世話で慌ただしく過ごして短く感じたマカオから帰国して
フランクフルト郊外の Bad Homburg vor der Höhe に住み年金で暮らす義父・義母
との同居生活に戻った。

【 モニカ・バルトの日記 】

週に三度、息子と一緒に通っているスイミング教室のプールで また今日 誰かに 
見られている視線を感じた 何処からかは分からない。

スイミング教室では夫の同僚が指導者としてプールサイドで笛を吹き、休憩時に
息子の世話もしてくれているので任せてデッキチェアーで身体を横たえるため

身体をバスタオルで拭いて頭を上げるとプールを隔てる防護ガラス越しの見学待合
室から佇む東洋人風の若者と一瞬、視線が合った。

知人の東洋人も若く見えたが年齢は夫より十歳も上だったので驚いたから
この東洋人も若くないかも知れない 誰かに見られていると感じた視線とは違った。

スイミング教室を終えて温泉プールに併設する託児室に息子を預け一時間ほど
サウナゾーンで過ごすため向かっているとチケット投入機で受付側から来た

東洋人とタイミングが一緒になると「お先にどうぞ」と譲ってくれるような仕草で
聞き取れない言葉だった。旅行者なのか先ほどの東洋人なのか見分けが
つかない位同じ顔立ちに見える、ましてや眼鏡だと余計に見分けがつかなくなる。

家事等を終えて子供達を寝かす頃にマデイラ島・ポルトガルに住む父から電話が
あり話の最後に思い出したように昔 父から貰った木製 「くるみ割り人形 近衛兵」

をハンスは気に入って遊んでいるかと また聞かれた。
もらった時から古びた「くるみ割り人形 近衛兵」は父の大切な お守りとの事で

先の戦争時の空爆で幼い父の命を救ってくれた恩人から もらった
「くるみ割り人形 近衛兵」は将来娘が男の子を生む前に渡したいと

夫と知り合う前から渡されたので住居が替わるたびに持ち歩いて飾っていた。

でも、今は手元にもない 息子は一度も手に取っていない 消えてしまった
ギュンター・クレー と過ごしていた家で。

--つづく--

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⑤ 一瞬の交差 歪められた真実

④ 一瞬の交差 消えた想いで  から続き

■ ドイツのホテル部屋 一枚の画像から創作
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【市民防衛隊員だった男の日記】

今は何年何月なのか まだ暑くない 曜日や日付が分からなくなってきた
もう残り少ない人生だ 悔いがあると思えばある あの日 何をしたのか

今では忘れかけている でも手を出そうとした思いは あるが確かではない
懺悔かと主に聞かれたら そうだと言える 仕方なかったのか もう疲れた。 

八点鐘の音が聞こえて来た。

【市民防衛隊員だった男の日記】

今日は目が覚めてから身体の調子が良い
昨日書き留めた日記で何を書こうとしていたのか今 読んでも分からない。

【市民防衛隊員だった男の日記】

いつから一人で生活しているのかも分からなくなった 戦争前からか
戦争・・・。 そうだ 我 ドイツ第三帝国が負けたのだ。

当時はドイツ東部ドレスデンで商店を営み開戦時には他の商店主たちと 
市民防衛隊員として街の治安にもあたり敵国側から流入するスパイ達にも
気にかけていた。

開戦後、数年で戦況が劣勢になると共に商売も立ち行かなくなり他の商店主で
同い年の幼馴染から 重ねて お金を借りるようになった・・・。

立場は あいつも 同じなのに 済まないと 思いながらも
借り倒す つもりは なかった でも 返すあてもなかった  戦争だ仕方ない。

そんな思いでいる時 突然 同い年の幼馴染から貸した金の一部でも返金との
催促が来た どうしても病気の娘の薬代の用立てに必要だと再三 訪ねられた。

そうだ二月の今日、 夕方に市民防衛隊員詰所の三階の部屋に地区隊長から
呼び出しがあり断りきれず買ったばかりの息子の誕生祝の品をポケットに入れ

待ち合わせの市民防衛隊員詰所の三階の部屋に入ると地区隊長は居なく
同い年の幼馴染が息子を連れて来ていた。俺の息子とも同い年だ。

子供は部屋の隅で一人で遊んでいた、そうだ遊具も何もないのに 手で形を作って
何か呟きながら遊具と遊んでいる つもりで・・・。

最初は冷静に話し合いから始まったが つい俺の方が騙したなと開き直り激昂して
先に手を出しそうになったが 彼の息子が驚いた顔で俺を見返したので

子供の手前 俺も彼も思い止まり 息子の誕生祝の品を俺が彼の息子に贈って
隣の部屋で待っていろと言い渡した筈だ。

結局、共に解決策は見出せず堂々巡りの話し合いになって彼らしくない
捨て台詞を言いドアを開けて出て行く後姿を逆上した俺が続き階段の踊り場で

そう あの時 踊り場で階段の下に声を掛けていた彼の背中を・・・。
手で押そうとした 押したのか もう記憶がない 忘れようとしている

でも その瞬間 ビルの壁が爆風と共に砕け破片が身体めがけて飛んできて彼が悲鳴
を上げながら崩れる階段と共に落ちて行くのがスローモーションとなって映った。

手を伸ばせば彼の手を掴めたかも 俺も激痛を感じ意識を失った。

後日、ドレスデンを襲った空襲は戦後も「ドレスデン爆撃」として歴史に残った。

もう ここまで書いたので 思い残すことは ない 。

                                 最愛の息子 ハンス へ

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)

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⑥ 一瞬の交差 冷めたベット

⑤ 一瞬の交差 歪められた真実  から続き

■ ドイツのホテル部屋 一枚の画像から創作
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【 モニカ・バルトの日記 】

夫 ステファンがマカオから帰って来る日が近づいて来た
これで義父・義母も少しは老いることを忘れるかもしれない。

また家族団欒の楽しい時が過ごせるような気もする、私の父・母や義父・義母の
世代は戦争孤児となったり兄弟と生き別れも経験しているから家族愛が必然と
なっている。

家族愛・・・。 も度が過ぎると悲しい別れを招くこともある事を経験した
ギュンター・クレー と過ごしていた家で。

一緒に住んでいた頃も日記を書いていた。 でも今は手元にない・・・。

【モニカ・エアハルトの日記】

幸せの絶頂が続くと信じていたのに まさか一転 こんな別れが来るとは悲しい
彼ギュンター・クレーの叔父が訪ねて来るまでは思いもしなかった。

彼が叔父さんを招いたのは私を紹介するためだと
言われ時は嬉しくなって彼に飛び付き嬉し涙が出た。

叔父が訪ねて来る日を緊張と嬉しさが混在する日々を過ごし
その日が来た・・・。

叔父さんは戦後、彼の父が亡くなると祖父の世話と仕事や党活動と忙しい
青春時代を過ごしたと彼から紹介されていた。

おもてなしにはミートフォンデュも用意して叔父さんも彼と食卓を挟み
父との幼い頃の思い出話を楽しそうに会話しビール瓶の数が増えていった。

叔父さんは初めて分かったかのように「くるみ割り人形 近衛兵」を装飾品として
各家庭では珍しくなく年中飾られたりしているのに食卓を離れ暖炉の横に置か

れている古びた「くるみ割り人形 近衛兵」を目の前にして手に取って時間を
使って眺めているので私は恥ずかしい気持ちになって沈黙していると

普段は飾っていても話題にしたこともない彼が助け舟を出してくれて
私の父から貰った物だから古びていると言ってくれると納得したかのように

食卓に着いたが以前と雰囲気が違う感じを私は受けて叔父さんを見ると
ビールで酔いが回っている訳でもないが赤ら顔の視線と合って少し口元が
微笑んだようにも見えた、が寒気を感じたことを今でも覚えている・・・。

叔父さんは急遽予定を早め翌日に住んでいるオーストリアに彼の引き止めも
聞かず帰って行った。 

私は正直 安堵した。

その日から 私達の運命の歯車が狂って行ったのは叔父さんが帰ってから数日で
「くるみ割り人形 近衛兵」が新品に替わった事で彼と噛み合わない会話が続き

彼の苦し紛れの言い訳を受けて 私は叔父さんが背後に居て彼を操っていると
言うと彼は僕の叔父さんを信頼できないのかと血相を変え叔父さんを庇った。 

こんな彼を初めて知った・・・。
彼も何か思い沈んだ感を漂わせ私達の会話も無くなり

今夜 寝室のツインベットに彼は戻って来ず居間で寝ている
彼からの別れの行動であった 嫌いではないのに 悲しすぎる・・・。

ギュンター・クレーが
日記を読み終えると彼女の苦しい胸の内も伝わり自分も同じ思いで彼女に
真相を伝えるべきか悩んだうえで決断は理由を伝えられない別れとなった。

読み終えた日記を置くと素早く取り上げられた日記を掴んでいる叔父に向かって
「彼女の大切な「くるみ割り人形 近衛兵」と日記だけでも返して下さい」

重苦しさを感じながらも ギュンター・クレーは彼女のために頼むしかなかった。

結局、叔父に聞き入れられず祖父と彼女の各日記と「くるみ割り人形 近衛兵」
をバックに戻した叔父に 返って来ない お金を用立てすると また来ると言って

帰って行った叔父の背中を憔悴して見送るしかなかったギュンター・クレーは
今、初めて胸の内を明かし真相を書き留めるため真新しいノートに最初で最後と

なるのか分からない日記の一頁目を開いた。

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)

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⑦ 一瞬の交差 陽炎のごとし

⑥ 一瞬の交差 冷めたベット  から続き

■ スイス・バーゼルの路面電車 一枚の画像から創作
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【ギュンター・クレーの日記】

<君と再会した>
モニカと別れて気分を紛らわせようと幾度とバーゼル市内を当てもなく彷徨ってた 

その日 突然 微笑んで私を見詰めるモニカと会った
幻かと思い目を凝らすと君は微笑みながら交差点の視界から去って行ったね。

その日も私はモニカを引き止めることも出来なかった。

--つづく--

(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)

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⑧ 一瞬の交差 片方からは見えない壁 

⑦ 一瞬の交差 陽炎のごとし  から続き

■ ドイツ・オランダ国境 一枚の画像から創作
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やはり日記を書き慣れなかったギュンター・クレーは早々とペンを離した手で机に
置かれたビール瓶を掴むと一気に喉元に ぬるくなった液体を流し込み 咽た。

寝ることにして明日からと心に誓ったが仕事にも忙殺されて三日が過ぎていた。

今夜こそと腕組みをして瞼を閉じると幼少時代に母から聞かされた事を思い出してペンを握った。

【ギュンター・クレーの日記】

<叔父が祖父の日記を持って来た>
母が言っていました お前の父親と叔父は兄弟なのに性格が正反対だとして
弟である叔父さん、を粗野な乱暴者で金銭には無頓着で借り癖があって

その上、豪放磊落だったら三拍子揃ったのに性格は内向的で人生も上手く
いかないのも両親や他人のせいにして妬み成長したら共産主義や党組織だと

酒を飲んでは言い放ったので父や母は驚いて叫ぶ叔父を抑えるのに一苦労したと
言われたが幼子だった私は叔父との同居は覚えていませんでした。

祖父は自分と同じ様な性格で育った叔父よりは父を大切に育て自慢の息子として
いたからか余計に叔父は妬みの気持ちが増したようです。

父や母が驚いたのは反政府批判につながるとされる言動は密告制度により
協力者から秘密警察に伝わるからで家庭内でも疑心暗鬼となり誰が協力者なのか

分からないよう協力者自身が秘密にして東ドイツ(ドイツ民主共和国)消滅まで

活動が続きドイツ統一後に旧東ドイツ秘密警察の協力者ファイルが多数押収され
て社会的問題となって人々の心に波紋を広げて行きました。

父も協力者でした。

そのような生活環境からか母は叔父との付き合いにも距離感を置き、また
私の将来と生活のためにスイスに居る遠戚を頼りに移住する計画を父に

打ち明けましたが父は祖父や叔父との生活と国営商店共同組合の役員にも推挙

されていた為に国と党 残される家族を思い重大な決断をし母と離婚して幼い私
とも別れの道を選んだと母が心の動揺を抑えるように言っていたのを覚えている。

1970年代初期の東ドイツは東欧社会主義国の経済面でも成長著しく優等生と
してモスクワ・クレムリンでも評価されており非生産的な母子の移住を当局が

許可したのも当時の活気ある経済状況の要因もあり名目的には優秀な東ドイツ
国民を移住させると移住受入国へ当局は通知していたようです。

遠戚を頼りに来ましたが それも書類上だけの遠戚で資金面の援助も乏しく
幼い私を抱えた母は昼夜の区別なく働き私を育ててくれました。

私が定住し少年期を終えるまでに相次いで父・祖父の順で亡くなった事を
知らせてくれたのは面影も忘れかけている叔父からの手紙でした

母と教会へ祈りに行き母が涙を流しながら嗚咽を抑えていたのを覚えています。

私が青年期に入る1980年代終盤に働き者だった母が病で亡くなりましたが
叔父には手紙でも知らせず教会関係者と勤務先の同僚だった方々の尽力もあり

墓地に埋葬された母は名も無きドイツ人の一人として戦争と政治思想の狭間に
翻弄された人生から安住の地を得て終えました。

母が亡くなった以降も叔父とは連絡を取らず関係を絶っていましたが1990年代
初期に突然とオーストリアに住んでいるとの文面で叔父から手紙が来て驚きました

もう その時はドイツが再統一していましたが叔父は1989年の

汎ヨーロッパ・ピクニック」を利用し東ドイツを脱出して ハンガリー経由で
オーストリアに来ていたのです。

正直 肉親が二人だけとなり身近な存在となった叔父の行動が不安でしたが
お互いの生活に没頭されたのか叔父からも その後の連絡が無く過ごし

2000年初期に私がモニカを紹介するために叔父へ携帯電話番号も書き手紙で連絡し・・・。
以降は【モニカ・エアハルトの日記】に書かれているような展開となってしまい

彼女の帰宅が遅い日に偶然を装ったように私が居るのを察して再度訪ねて来て
見せられたのが祖父の日記 【市民防衛隊員だった男の日記】だったのです。

最初、その皮装飾の物が何か分かりませんでしたが時代が経っているためか
紙面をめくるのも苦労しインクの文字も薄くなり所々に虫食いの跡もありましたが

なんとか読み進めて驚愕し本当なのかと思いました。

その日記、 【市民防衛隊員だった男の日記】を読み誰もが思うのは同い歳の
幼馴染が本当にモニカ・エアハルトの祖父なのか・・・。

誕生祝の品は「くるみ割り人形 近衛兵」なのか・・・。

考えで混乱した私に助け舟を出すかのような感じで叔父が暖炉の横から
「くるみ割り人形 近衛兵」を持ち出し近衛兵の底を見せて「ハンス」と読める

文字が辛うじて印字されて残っていると まるで諭しているかのように言い
私の肩を抱き寄せようとしたが拒み私は両こぶしを握り震えだした。

「モニカ・エアハルトの父とは その近衛兵で一緒に遊んだんだよ」
今度は勝ち誇ったような笑みで・・・。

「ハンスは俺の兄なのに不思議だった でも 真相が分ったよな ギュンター 」
猫なで声で ダメ押しされたような感がした。

叔父は肉親として二人だけになった甥の私に 何を宣告させようとしているのか
「モニカの祖父を俺の祖父が コ ロ シ・・・。 」

て いれば私はモニカと一緒になれない。

もし 祖父の日記を隠し真相を言わないままモニカと一緒になれば
今度は私が叔父からモニカに真相を伝えると脅されるのか 今の叔父ならば

なぜ、叔父は私を祝福してくれないのか 家族の暗い過去を守る為なのか・・・。
ここに私がモニカ・エアハルト との別れを決断をした真相を記す。

日記を書き終えるとギュンター・クレーは この先の展開も不安な気持ちになった。

--つづく--

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⑨ 一瞬の交差 渦を巻く不安 

⑧ 一瞬の交差 片方からは見えない壁  から続き

■ ドイツ・フランクフルト中央駅ホーム 一枚の画像から創作
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【ギュンター・クレーの日記】

モニカ・エアハルトとの別れを知って確認すると叔父からは連絡が途絶えがちに
なったが年に数回は金の工面をしてくれと手紙で届くと僅かだが送金を繰り返した。

月日が流れて2012年春 私の携帯電話に見慣れない番号の着信があり
叔父からドイツ・フランクフルトの駅前ホテルに宿泊しているから休める日に

来てくれとあり断り切れず訪ねる日を連絡し話を終えた。

日記に書き込んだギュンター・クレーは
フランクフルト中央駅で下車すると今度の叔父の呼び出しが

また騒動に繋がるのではないかと仕事疲れもある中、さらに心労も重なり暗い
気持ちでホームの雑踏を避けるように叔父に指定されたホテルを目指していた。

ギュンター・クレーは見えなかったが隣のホームから乗車するモニカ・バルトは
別れてから初めて偶然見かけたギュンター・クレーは少し 疲れている様子に映った

快活な イメージだった ギュンター・クレーだっただけに
暗い影を 落とした彼の背中は とても 気になった・・・ 。

--つづく--

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KIYO♂

Author:KIYO♂
旅・乗り物・株・創作小説・愛犬 ◆20160607未だに冬眠のため不定期活動。

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